そのいちばんの好例がリボルバーでのリンゴの見せ場だろう。ほとんど歌えなかったという事実をよそにビートルズのアルバムにはほぼ毎回1曲だけリンゴがリードボーカルを取る曲が入っていた。だがファンには好評を博していたし確かに彼の声には母性本能くすぐるところがあったーもしかしたら単純に音を外すまいと必死で頑張っているのが手に取るようにわかったせいかもしれないが。そのためジョンとポールはできるだけ音数の少ないメロディーを彼のために書くようにしていた。リボルバーではポールがそんなリンゴのためにイエローサブマリンを書き上げた。最初にポールがピアノで弾いたとき僕の耳にはポップソングと言うより童謡のように聞こえた。がメンバーは一発で気に入り早速作業にとりかかった。
ービートルズ・サウンド 最後の真実より