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「ジョン・レノンに恋して」 290−291ページより

法廷弁護士のトップに紹介されて、ジョンから財産の半分を勝ち取ることができると言われた。
けれども、法的手続きを通すのは、かなりたいへんなことだということがわかった。
それに、血の通わない法律に訴えるよりも、直接ジョンと話がしたかった。
ジュリアンがどれだけ会いたがっているか、わかって欲しかったし、
すべてを円満に解決したかった。ジョンに電話をした。
「何の用だ」。噛みつくような言い方だ。
「ジョン、もう敵意とか悪意とか、そういうことには耐えられない。(略)
弁護士はわたしに、あなたの財産の半分を取るべきだと言うのよ。
でもわたしは、話しあって、ふたりのあいだで解決したいと思ってる。
法律も弁護士も抜きで、あなたとふたりで」
「話しあうことなんて、なにもない。こっちが出せるのは、7万5000ポンドが限度だ。
それだって、ギャンブルで大儲けしたようなもんだろう。
文句を言われる筋あいはないね。きみなんてもう、どうせ価値のない人間なんだから」。
決定的な言葉を残して、ジョンは電話を切った。
弁護士には。ジョンの財産の半分を争って奪うようなことはしたくないと話した。
ただ、適正で応分の額の分与が受けられれば、それでいいと。