にしても70年代以降のポールの曲の薄味については否定する人はいない。それほど
豹変したわけで。

 結局何が変わったか、よくよく聴きこむと。ビートルズ時代には、自分のなかの生の感情や
メッセージを割合そのまま曲にしてたと思うのね。それが曲に、生々しさや重さ与えていたと
思う。

 70年代以降、彼は曲作りにおいてそういう作業を止めてしまったような気がする。結果、
或る断片を思いついては膨らませるだけの曲しか作らなくなってしまった。薄味の正体は
それでしょう。

 彼はそれが自分のスキルの向上だと思ったかもしれないが、だがそれは間違いだった。

 彼の曲にはビートルズ時代の濃厚さ、リアリティが無くなった。ポールの70年代以降の
曲の足らなさはそれであって。彼が何故そういう作法にこだわったのか謎というしかない。