今回のツアーであからさまになった劣化について、一人くらい、「聴くにたえ
ない」と感じた取材人とか、いて当然と思えるんだけど。歌手の島倉千代子が
病気で亡くなる三日前に録音した「からたちの小径」てあるんだけど。彼女の
イメージに合った曲で良かった。でもやはり病弱になった人の声には違いない。
ポールの今回の声はそれに匹敵してることに改めて気がついたわけ。「病弱」
といっても通用するレベルだって。だから劣化といってもレベルが高い(笑)。

 で、そのレベルのヴォーカルにたいし、評論家は、たとえば渋谷陽一の
書いたものを見ても触れない。ただ感激している。ミーハーとしてはそれで
良いけども、一応「ロック評論家」でもあるわけで、その肩書はここでは
捨てちゃってる。なぜそれができるのか。何がそこで起こっていたのか、
伝えるのがマスコミの使命なはずで、ミーハーとしての感激だけじゃなく、
冷徹な視線で見つめることは必要だったはずだ。ポールの歌声が実際どのよう
なものだったのか、伝えることが必要だったはず。「渋く変わった」という
レベルのものだったのか、それを渋谷のような立場の人間が伝えなくてどう
する。と思う。渋谷陽一に限らず、アレに触れない人間ばかりというのは
、「取材拒否」にされることを恐れていた可能性も感じる。批判を封印され
ていたのかとかね。