1.低域と広域が足りない
2.ダイナミックレンジが低い
3.分離が悪い
4.音を敷き詰めていて「間」が無い

ビートルズのサウンドが古く聞こえる音響的な要素を列挙してみた。
あたりまえだが、高級オーディオセットが普及していなくて
小さなラジオやテレビで音楽を鑑賞していた時代の産物なのである。

60年代の録音機材のスペックは実は現在と変わらない。
マイクなんて現代でも50年以上前のノイマンが主役で使われているし
業務用テレコのS/N比は50年代末にはすでに可聴範囲を超える性能を
達成していた。

ビートルズのオリジナルのマルチトラックテープの音質はスティーリー・ダン並に良い。
しかし現代風の分離の良い透明なミックスを施せば、スカスカペケペケな
高校生バンドが練習スタジオの天井マイクで録音したような貧弱な音質になってしまう
つまりビートルズをはじめとする60年代のビートバンドのレコードは、
ああいうサウンドに積極的に加工されていたわけである。