2本目は「新コンサートモード(仮称)」だ。約4万人を収容できるドームは、コンサート会場として広く、相応の集客のできるアーティストが限られているため、コンサートの開催が年間平均で10回程度にとどまっていた。新コンサートモードはドームの内部に幕を張って、あえて座席数を削減。2万人規模のコンサートが開催できるようにする。市は22年度予算に10億円を計上し、計画を進める。深井貴広課長は「2万人規模のコンサート会場は市内になく、新たな需要の掘り起こしができると判断した。コロナ下で不透明な部分もあるが、年間で10〜12回を期待したい」と説明する。

残る柱の2本は展示会誘致と自主イベント開催。19年の実績で8日間開催の展示会は26日間、同9日間開催の自主イベントは13日間の開催を目標に掲げる。4本柱の収支改善策を目標通りに誘致できれば、サッカー4日間▽コンサート10〜12日間▽展示会18日間▽自主イベント4日間――によって最大で38日間を埋めることができる。ただし、それでも年間で約70試合あった日本ハムの主催試合の半分程度にとどまるのが実情だ。

 深井課長は「日本ハム移転の穴を埋めるべく、四つの柱のほかにも、あらゆる可能性を考えている」と話す。仮に日ハム移転後に赤字になった場合については「協議が必要だと思うが、市長は『市民負担を増やさない』としており、税の投入はないと考えている」と述べた。

 市は当初、セ・リーグの試合の誘致も検討した。だが、道内のプロ野球開催の権限は日ハムが持っている。このため、「全く未定」(企画事業課)という状況で、日本ハムとの交渉も進んでいないという。

日本ハム移転後のドームの収支改善策は何があるのか。北海道大公共政策大学院の石井吉春客員教授(地域政策)は「(市の4本柱は)方向性として正しいと思うが、新型コロナ感染拡大を受けて、国際会議などのあり方もガラッと変わった。大人数が集まる会議は減り、イベントもひたすら大勢を集めようとすることが少なくなったと考えたほうがよい。改善策を実施しても、数億円超の赤字が残るのでないか」とみる。