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五輪で感じた野球普及の“限界” 米国「ドリームチーム」誕生が状況を変える?〈dot.〉

>そう、野球が五輪で正式競技として開催されるのは今回の東京五輪が最後になる可能性がある。そもそも五輪における野球競技は、1992年のバルセロナ五輪から正式種目として採用されたものの、2008年の北京五輪を最後に除外。その理由は世界的に普及している競技とは認められなかったこと、女子に同一の競技が存在しないことだった。

 東京五輪で野球が復活したのは、この2点が改善されたからではない。IOC理事会では正式種目として認められなかったものを、開催都市の持つ競技追加権限で東京が(つまり日本が)復活させたのだ。

 その点を踏まえれば、次回の24年パリ五輪で野球が再び除外されたのは必然と言える。東京五輪では台湾、中国、オーストラリアがコロナ禍での出場に懸念を示して辞退した事情があったとはいえ、本大会への参加国はわずか6カ国でしかなかった。「五輪を外れては世界的なスポーツになれない」という声も日本国内からは上がっているが、そもそも「世界的なスポーツでなければ五輪競技にはなれない」という方が正しい。

 さらに参加国のメンバーを見てみると、自国の最高クラスの選手を結集して五輪に臨んだと言えるのは日本と韓国くらいというのが実情。その理由は世界最高の野球選手たちが集まるメジャーリーグ(MLB)が五輪への選手派遣に非協力的だからだ。

 日本と韓国は主力の大半が国内リーグでプレーしている選手たちだからほぼベストメンバーが組めたが、MLBの本拠地アメリカはもちろん、ドミニカ共和国やメキシコなどは実績の乏しいマイナーリーガーか全盛期を過ぎたベテランの元メジャーリーガーらが代表として名を連ねていた。

MLBが協力的でないのは、五輪が開催される夏はレギュラーシーズン真っただ中であることを思えば当然と言えば当然。日本と韓国はプロ野球のシーズンを中断して五輪に選手を派遣したが、MLBとしては五輪にそこまで義理立てする魅力や意義を感じていないのだろう。五輪を重視しないこうした傾向は何も野球に限ったことではなく、五輪が最高峰の舞台ではない競技では年齢制限が設定されているサッカーや、ゴルフやテニスなど個人競技での欠場も含め、五輪をスルーするケースはよくある。