https://news.yahoo.co.jp/articles/893e35b264c21efe7e6322adb6aec19ceba50634
コロナ下のプロ野球契約更改を経営学視点で展望。大幅減俸は増える?

>プロ野球の売り上げの構成はおおよそ30〜40%が入場料、10〜20%が物販であることを考えれば、各球団の懐事情は厳しいはずだ。小林至氏はこう説明する。

「今シーズンはプロ野球の全球団で赤字は確実。昨年に比べて売り上げは6〜7割減る見込みです。イギリスのコンサルティング会社『プライスウォーターハウスクーパース』(PwC)の調査では、世界の学者・経営者の約9割は、スポーツ産業がコロナ以前の水準に回復するのは2022年以降であると回答しています。回復に時間がかかるのは間違いありません」

 海外では、すでにプロスポーツ選手への大幅な年俸減額がなされているが、果たして日本のプロ野球はどうなるのか。

「球団の売り上げが減りましたが、選手の年俸を極端に減らすということはないでしょう。その他の国内外のプロスポーツチームとは経営のあり方が違って、日本のプロ野球は親会社の支援が球団保有の前提となっています。各球団が赤字を出しても、親会社が広告宣伝費を増額したり、資本を注入したりすることで支えるわけです」
各球団に加え、親会社もコロナ禍で経済的にダメージを受けているものの、例えば、ソフトバンクホークスは親会社のグループ全体の売り上げが約6兆円、そのうち球団の売り上げが約325億円。球団が占める割合はごくわずかだ。

「ソフトバンクは『世界一の球団』をスローガンにしている球団で、選手の年俸にもその考えが打ち出されるはずです。また、広島東洋カープは12球団で唯一親会社を持っていませんが、45期連続黒字で十分な内部留保があります」

一方、小林氏は、楽天とDeNAは今回の契約更改で思い切った減額をする可能性があるとみる。

 三木谷浩史オーナーがスポンサー契約を結んでいるスペインのバルセロナは、コロナ禍の影響で財政が悪化し、所属選手の給与を大幅に削減することになった。

「三木谷さんはオーナー会議で『なぜ日本では選手の年俸をカットしないんだ』という趣旨の発言をしていましたし、もともと世界標準で物事をはかる傾向があります。大胆な減額提示も起こり得る。DeNAも親会社の経営状態がよくないので、がくっと下げてくるかもしれない」