>>915
 Jリーグは、16年まで各地域の放送局が個別に制作会社と契約し、放送した映像の著作権も放送局が持っていました。これをスカパー!が取りまとめていた形です。DAZNが放映権を取得した17年以降は、映像の著作権管理や映像制作をJリーグが主体となって行うようになったと聞きます。
 今回の業務提携によってBリーグの放映権の形が、どこまでJリーグと一元化されるのかは分かりませんが、「ホームの試合は地元の地方局で見られるけれども、アウェー戦を見ようと思ったらDAZNに入らないと見られない」というような、中央集権的にリーグにだけ映像の権利が置かれる構図は現状のBリーグには時期尚早な気もします。一方で、BリーグもDAZNからの巨大な放映権料を近い将来見込んでいる、したたかなゴール設定のプロセスなのかもしれません。
 ただ、野球でもサッカーでもない、まだまだ発展途上なバスケットボールにおいては、お金よりもまずは地域との接点、バスケファンでない地域の人々も気軽に試合を家庭で見ることのできる「無料で受動的な接点」がまだまだ重要ではないかと私個人は考えています。そういった観点で理想的なのは、ホームもアウェーも映像の権利が各クラブにも置かれ、接点として目に触れる状況を地域のメディアで柔軟につくれる形です。
 ホームは地元のテレビで見て、次の段階でアウェーも見たいファンが球団・クラブのWebサイトに行くと見られる。時には、アウェーの試合やアウェーのユニフォーム姿も地元のテレビで流れる。そしてオールスターやプレーオフや他チームの試合など全部を見たくなるほどの熱心なファンになったら、JリーグにおけるDAZNのような中央集権的なものに入る――。
 この3段階のうち、なるべく「無料で受動的」「チャンネルをまわしていたらやっていた」という「入り口」こそ重要だと思いませんか。地域やチーム、経営のフェーズなどによって考え方は異なると思いますが、実際にブロンコスにおいては、まず接点づくりのためにもっと地域で見られる環境を実現しないといけないと実感しています。