中畑清 西武逆転劇呼んだ栗山の10球、アウトの質というものを改めて示した 日本ハム・樋口は要注目
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2020/09/23/kiji/20200923s00001173508000c.html
【中畑清 視点】
西武の4回2死から連打での逆転劇。その攻略の糸口は、この回先頭の栗山の打席にあったと言い切っていい。バーヘイゲンから10球粘った末、結果こそ左飛だったが、あのベテランが見せた姿勢や対応が選手に伝わり、本当の“打線”となった。

 3回までのバーヘイゲンの投球を見ていたら、これは点を取れないな、と感じていた。1メートル98の長身から角度があり、速球は150キロ台半ばまで、ナックルカーブとチェンジアップもいい。
この難敵に対し、栗山は全てのボールをカットして、全てのボールに対応できるんだよ、という空気をつくり出してくれた。

 この打席、ファウルは7度。133キロスライダー、152キロツーシーム、127キロナックルカーブ、143キロチェンジアップ、127キロナックルカーブ、133キロナックルカーブ、142キロチェンジアップ。全ての球種をみんなに見せてあげた。

 アウトの質、というものがある。単なるアウトと、そうではないアウト。そういう野球を改めて栗山が示してくれた。
同点3ランの木村は1ボールから一振りで仕留めた。あれだけ思い切り振れたのも、栗山の打席があったからに他ならない。

 西武の生え抜きでは初の2000安打に迫っている。そのベテランが球団3000勝に文字通り導いた。
栗山の足跡が何かメッセージを送っている気がするな。ここから巻き返していこう、と。諦める前にやるべきことあるぞ、と。