石川はずっとベイスターズに、小さな光を灯し続けていた


 でも見せていた。石川はずっとベイスターズに、小さな光を灯し続けていた。
みんなが去っていく中、火が消えないように、一人コツコツと番をして。
それはいつしか大きな炎となり、誰もが息を飲んだ、
チームの連敗を止めるあのホームランを東京ドームに叩き込み、走って走って恐れずベースに飛び込んで、1000本安打という栄冠を掴んだ。


普段ホエールズのことばかりのライターをこんなにも熱くさせる。
「浮遊しているようで、確かに存在感を発揮する。何色にでも染まりそうで、何色にも染まらない。そんな、不思議なオーラを纏った男です」
苦楽を共にした元チームメイトをしてもまだその正体は分からない。
「00年代の仇なんだよ。タケヒロが幸せになることで、00年代はただ負けただけじゃないんだと肯定したい。業のようなものなんだ」
ベイスターズ敗北の語り部は、絞り出すように呟いた。