【大きな大きなホームラン】

日本のとある地方に野球観戦の大好きな、
でも、目の見えない少年がいました。
少年はプロ野球屈指のスラッガーである岡本和真選手にあこがれています。
少年はその選手へファンレターをつづりました。

「ぼくは、めがみえません。でも、毎日あなたのホームランを
たのしみにしています。
しゅじゅつをすれば見えるようになるのですが、こわくてたまりません。
あなたのようなつよいこころがほしい。ぼくのヒーロー岡本和真へ。」

少年のことがマスコミの目にとまり、二人の対面が実現することになりました。
カメラのフラッシュの中、岡本和真と少年はこう約束します。
今度の試合でホームランを放てば、少年は勇気をもって手術に臨む、と。

そして、その試合、ヒーローによる最後の打席。2ストライク3ボール。
テレビや新聞を見た多くのファンが、東京ドームで固唾をのんで見守り、
少年自身も、G+の中継を祈る思いで聞いています。

ピッチャー中崎翔太が投げた最後のボールは、
大きな空振りとともに、會澤のキャッチャーミットに突き刺さりました。
日本中から大きなためいきが漏れようとしたその時、
G+実況の上重聡が、こう伝えました。

「ホームラン! 月にまで届きそうな、大きな大きなホームランです!」