忘れられぬ光景…阪神木浪の亡き祖母への思いと運命
[2019年3月28日6時38分]
https://www.nikkansports.com/baseball/news/201903270001010.html

 開幕の晴れ姿を届けたい人がいる。大好きだった天国の祖母へ−。「1番遊撃」を実
力でつかんだ木浪が、思いを込めてバットを振る。母・忍さんが明かす。「私たちが
共働きだったので、祖母が学校終わりに少年野球に連れて。ほとんど祖母と一緒にい
た感じですね」。少年野球の帰りの駄菓子屋に、バッティングセンターまで。いつも
祖母の美津子さんが付き添った。木浪の野球選手としてのベースを作ってくれた人で
ある。

 最大の理解者であり、応援者だった。青森山田高では親元を離れた。「高校は寮だ
ったので、なかなか会えなかった。だから、祖母を連れて、見に行った」。孫の勇姿
を1度見たら、意外な行動に出たという。「勝手に車を運転して、聖也を見に行ってま
した。私たちに内緒で。危ないので『ダメ』って、言ってたんですけどね」。背丈が
伸びても、ユニホームの色が変わっても、成長を自分の目で見たがった。「いつも着
ている緑色のジャンパーが目立つんですよ。周りの人が『また来てるよ』って。それ
でも、聖也は本当にうれしかったみたいです」

 そんな祖母は、聖也が大学生の頃に寝たきりになった。亜大から帰省した時のこと
だった。「聖也も、もういい大人になってるのに。寝たきりになった時に、祖母の背
中を拭いてあげてるシーンを見たんです。何年たっても、おばあちゃん子なんだな、
って。優しい男だなと」。