https://news.yahoo.co.jp/byline/asasatoshi/20190109-00110466/
球場からみたオーストラリアプロ野球の現在

>この国では、野球はマイナースポーツの域を出ない。スポーツ用品店で野球道具を見ることはないし、全国紙のスポーツ欄には、ABLの結果どころか野球の情報が出ることもない。
リーグ初年度は2000人近い観客動員は珍しくなかったが、現在では1000人も入れば「大入り」で、規模としては、日本の独立リーグと同様と思っていいだろう。
入場料は自由席で20A$(約1600円)ほど。これはラグビーやサッカーのアマチュア地域クラブのそれとさして変わらない。
そういう現状の中、ABLは決して背伸びをせず、身の丈にあった経営で、野球連盟、ベースボール・オーストラリア直属のトップリーグとして、ナショナルチームの強化を担いながら、安定軌道を維持しようとしている。

使用球場の変化

 そのことが如実に表れているのが、スタジアムだ。
 スポーツ観戦の盛んなこの国には、至るところに集客施設としてのスタジアムがある。
各都市は町のシンボルとして市街地からさして離れていない交通至便な場所にフットボールやクリケット兼用のオーヴァルという楕円形のフィールドをもつスタジアムを建設し、それは数万の観客を飲み込んでいる。
サッカー人気が年々向上している中、サッカー用のスタジアムも町中に建設されている。
アデレードのランドマークにもなっているアデレード・オーヴァル。巨大スタジアムは、町のシンボルになっている。

このようなスタジアムに多くの観客を運ぶため、バスやトラム(路面電車)が整備され、観客はこれを利用して足を運ぶ。
このような「第1級」のスタジアムは、試合がない時も、町を代表する建築物として観光名所にもなっており、それゆえ、各スタジアムは工夫を凝らした建築美を競い合っている。
2014年にメジャーリーグ公式戦が行われたシドニークリケットグラウンドもこの部類に入るだろう。