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 自身の強みを知るからこそ課題も明確だ。抜群の制球で操る球種のコンビネーショ
ン、小気味よいリズムで相手打者を追い詰めてきた。首を横に振る動作とは無縁。う
なずいては投げ、うなずいては投げで試合も守備陣も引き締めてきた。そうして5度
の2桁勝利、2011年から8年連続で100投球回以上というキャリアを築いてき
た。

 1回2安打1失点だった2月26日の紅白戦では、捕手の梅野のサインに何度も首
を横に振る場面があった。そこで今後試したいことも見えたという。「ツーシームが
出てこなかった。話し合いができればいいな…と急に思ったので。いろいろ首を振っ
て、この配球ではこうほうりたいというのはあった」。オープン戦ではさらに、マウ
ンドと本塁を挟み無言で言葉を交わすだけでなく、試合後も語らうつもりだ。

 「完全にサインの一致をしたいですね、ちゃんと。どういうときにどう(投げる)
と。投げる方(肩肘)は不安はないので。うなずきの回数が、首を振る回数が、なる
べく横に首を振らないようにしたい。本当にいろいろしゃべっていければいいなと思
います」

 チームを移ったのだから当然、捕手と分かり合う作業はやり直し。今は横向きでも、
すぐにウンウンと首を振れる日が来る。あうんの呼吸を勝ち取り“イエスマン”となっ
て、西はポンポンと白星を重ねる。 (長友孝輔)