>>335
 −筋肉がついた体に以前のしなやかさが戻れば。
 「全然変わってくると思いますよ。投球ってひとつタイミングが狂えば球離れが早
くなったりだとか、体が開くとか。ちょっと動きが変わるだけでね。今ならワンテン
ポ遅くなったこと、テイクバックで張りが作れることでいろんなところで好影響が出
て、下半身でもワンテンポためができてバンっと投げられるので。ちょっとコンマ何
秒変わるだけで変わってくると思う。今はそこの調整を投球をしながらしていっても
らえれば」

 −球速アップも期待できる。
 「単純に言ったら可動域が広がれば、ための時間ができるわけですから。その分し
なりが出て速い球が投げられたり、コントロールもつきやすくなるかなと思っていま
す。だから球速もさらに上がると思いますよ」

 −そもそも可動域を広げるメリットは。
 「間を作れるというのがある。ためを作った分、そこでパワーをためることができ
て、下半身の可動域も生かせると。ボクらの世界では投球って下半身の力をいかに指
先に無駄なく伝えることができるかなので。柔らかければ柔らかいほど下半身の力を
上に伝えやすくなる。それがいわゆる“間”なんですけど、その間をつくって最後にバ
ンっと投げ込めるようにする。可動域をつくることによって、より下からのエネルギ
ーを指先に伝えやすくする、言葉にするとそんな感じですかね」

 −けがもしにくくなる。
 「肩や肘の障害というのは可動域や柔らかさとの関連性が強いことが分かっている。
だから柔軟性が上がれば故障をしにくい体になる。ユタカさん(武豊)も天性のもの
もあるけど、ここでのトレーニングで柔らかさを保っていることで本人は“60歳まで
やれる”と言っていますし、大きな落馬によるけがさえなければやっていけると思って
います」