内田雅也が行く 猛虎の地<17>西宮「敷島劇場」
[ 2018年12月20日 09:00 ]
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/12/20/kiji/20181220s00001173071000c.html

「タンク」が心を休めた映画館

 プロ野球は沢村が投げ、景浦が打って始まった――と言われる。伝説の洲崎の決戦
で人気を呼んだ一騎打ちである。

 創設初年度1936(昭和11)年12月9日、洲崎球場での年度優勝決定戦の第
1戦。タイガースの主砲、景浦将は巨人・沢村栄治のドロップ(縦のカーブ)を左翼
場外に運ぶ3ランを放った。

 詩人・西条八十は『洲崎野球場風景』の中でうたっている。<力と熱の象徴か、そ
の無造作に戦場を駆けるタンクにさも似たり>。景浦の豪快さを戦車にたとえた。

 投手、打者兼任の二刀流だった。投げては36年秋は最高勝率6勝無敗、最優秀防
御率0・79。打っては37年春打点王、秋首位打者となった。