聞いたか工藤



「選手の個性を潰したくない」西武・辻監督が貫く自主性を重んじた野球
https://full-count.jp/2018/07/03/post146211/

 例えば、打率・出塁率ともにリーグトップを争う1番の秋山が出塁しても、2番の源田は日本特有のスモールベースボールにありがちな犠打をするという決まりきった攻め方をしない。
1点を狙う野球をするのではなく、多くの得点を重ねていくスケールの大きい野球を目指している。

 辻監督は言う。
「こっちの先発と相手の投手を比較して、僅少差になりそうだったら、1回からバントも考えなくちゃいけないだろうし、3、4番の調子次第でも作戦は変わる。
でも、今はそういう確実に送る野球をする時代じゃないんじゃないですかね。うちには源田、外崎、金子侑司という盗塁ができる選手がいる。
彼らが出塁したり、走者を一塁において凡打をしても走者に残ることができれば、盗塁をして送った形にできるわけですから。その強みがあるのは大きい」

とはいえ、送りバントをせずに強攻する、あるいは、積極的に盗塁を仕掛けるという戦略には、必ずリスクが伴う。
せっかく出塁した走者の盗塁死や併殺打などでチャンスがついえてしまうと、試合そのものの流れを変えてしまいかねないからだ。

しかし、西武の選手たちには迷いがなかった。これには、辻監督が理想とする野球があるからに他ならない。
「サインなしで選手が考えてやるというのが、僕が理想とする野球なんです。選手たちが試合をつくるものだと常々思っています。
盗塁に関して言えば、相手のバッテリーによって走れる、走れないがありますけど、その判断は選手がする。
それは選手の技術向上のためにしていることでもあるのですが、自主性を持ってやってほしいんです。
自分で盗めたらいく、ダメだったら自重して止まるというのは技術力ですから。
こちらが制約したり、アウトになったからといってあれこれ言うと、選手たちの思い切りが出なくなってくる。選手の個性を潰したくない」

 リスクを伴う攻撃を恐れずに立ち向かっていけるのは、指揮官が選手の考えを許容しているからだ。意図のある積極的な仕掛けならアウトになっても多くは言わない。
そうした環境をつくり出しているから、リスクを恐れない積極的な野球へとつながっている。