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 力強い打球が逆風を切り裂き、バックスリーンへ伸びた。ズドン! 轟音が安芸の
空に響く。大山は充実した表情を浮かべながら、ダイヤモンドを一周。来季4番候補
へと名乗りを上げる“号砲”を打ち鳴らした。

 「帰ってしっかり(自分の)映像を見て、自分のやりたいスイングをできているか
確認したい」

 約3800人の虎党を“一発”で沸かした。第1クール最終日でキャンプ初となるシ
ート打撃。1打席目は小野相手に遊ゴロに終わり、迎えた2打席目、対峙したのは同
じ94年生まれの竹安だった。1球目を見逃すと、2球目は外角の変化球に空振り。
3球目で低めの138キロをすくい上げるようにしてとらえると、低い弾道で中堅へ
たたきこんだ。

 甲子園の浜風にも負けそうにない放物線に矢野監督は「やっぱりホームランを打て
るのは悠輔の魅力。しかもセンター方向に。打球としてもいいし。(風が)アゲンス
トやったけど、それでも入ったのは価値がある」と評価。「来年、悠輔が4番になっ
てくれたら俺たちもうれしいこと」と期待を寄せた。