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 昨年9月1日の中日戦(甲子園)以来、351日ぶりの一発。指揮官は「今年初め
て外野の頭を越えたね」とジョークを交え、たたえた。だが左翼への真っすぐな一撃
は何より鳥谷の強み。2016年6月2日の楽天戦(当時コボスタ宮城)以来の逆方
向への本塁打になった。今季100試合目。15年目でもっとも遅い1号に、鳥谷は
「うれしいんだか、悲しいんだか」と控えめに笑った。

 早大時代の汗も涙も染み込んだ地で再出発の一発になった。14日には、ここで自
分を“見出してくれた”人を失っていた。担当だった元球団非常勤顧問(スカウト)の
岡田悦哉氏が、11日に肺炎のため逝去。87歳だった。鳥谷は広島戦(京セラ)後
に報道陣を通じて知り絶句した。

 「えっ、ウソでしょ? 初めて聞いた…」

 そして、思い出をしぼりだした。「阪神を退団されてからは会う機会も少なくなっ
たけど。大学のグラウンドとか球場にもよく来てくれていたから、感謝しかないです」。
この神宮のスタンドで、いつも熱い視線を送ってくれた人だった。