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 八回の守備では同点とされ、なお二死二塁。吉田正の強烈な右翼へのライナーに目測
を誤ったのか、1度前進してから必死にグラブを伸ばしたが“バンザイ”。勝ち越し点を
許し、天国から地獄だったが、最後に自らバットで取り返すのが超人たるゆえん。そし
てその闘志こそ、いまの虎にもっとも必要なものだ。

 チームが苦しんだ交流戦も、4番として打率・344、2本塁打、13打点と奮闘。
FA加入1年目の昨年は交流戦中に左太もも裏を痛めて、一時離脱した。開幕前は右
膝を、7月には脇腹を痛めるなどけがに見舞われ、何度も唇を噛んだ。しかし、今年
は違う。

 ここまで全62試合に出場し打率・320、10本塁打、37打点に14盗塁。規
定打席以上ではチーム4冠だ。その裏には、日々のたゆまぬ努力がある。チームの休
養日でも人知れず、必ず甲子園に足を運ぶ。トレーニングはもちろん、トレーナーら
に入念なマッサージを行ってもらっている。

 金本監督は「変にかばうわけじゃない。難しいと思うよ、あの打球は。真芯でとら
えたライナーやったから」と守備については不問に付し、さらなる活躍に期待した。

 22日からリーグ戦再開。甲子園に迎える首位広島とは3年連続の激突だ。金本阪
神となった過去2年は0勝5敗。勢いをつけたいカードで、必ずカープに叩かれてき
た。4・5ゲーム差の4位からスタートする今季、これまでとは違う虎を見せる。
「広島を倒して、テッペンを目指して頑張る」と誓う超人が、チームを引っ張る。
 (新里公章)