2018.6.6 08:00
【星野伸之 緩急自在】阪神・メッセ、フォーク多投に落とし穴
www.sanspo.com/baseball/news/20180606/tig18060608000003-n1.html

 一回の「メッセンジャーの37球」が試合の明暗を分けた。難しいコースは粘られ、
ボール球は見極められ、球数が増えて苦しみ抜く立ち上がり。その過程で小田、福田、
小谷野には直球を芯で捉えられた。バッテリーは「直球を狙われている」と判断した
のだろう。二回以降、急に変化球、特にフォークを多投し始めた。8番の若月にまで
フォークから入っていた。

 ここに落とし穴が生まれた。フォークでカウントを取り、さらにフォークを決め球
にした結果、一気に疲れが出て、フォークの落ちが小さくなり、球も浮いた。五回の
連続本塁打は、ともに失投。吉田正はタイミング的には泳いだスイングだったが、バ
ットが届くコースだったし、マレーロへの1球も高かった。直前の福田の平凡な投ゴ
ロで一塁送球が疲れからワンバウンドに。変調を示すサインも出ていた。

 とはいえ、3失点だからメッセンジャーだけ責められない。打線の不振は深刻。さ
ほど球威のないアルバースの直球を捉えたのは福留、糸井、大山の3安打だけ。差し
込まれてファウル、という打球が多かった。

 打てない時は細かなプレーのミスは厳禁なのだが、五回一死一、三塁から空振り三
振の植田は寂しかった。オリックスの内野は前進守備ではない。転がせば1点のケー
ス。何が何でもバットに当てなければいけない。

 敗戦の中で、光明は救援登板の能見。先発からの配置転換はいいアイデア。短いイ
ニングだから直球も生きていた。今後、先発に戻るかどうかは別にして、自分の真っ
すぐを取り戻すには、救援はプラスに作用するはずだ。 (サンケイスポーツ専属評論家)