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 確かに特長となると乏しい。バッティングにはまだまだ成長の余地はあるが、打球
を遠くに飛ばせる長距離砲ではない。足が速いわけではない。守備が抜群にうまいわ
けでもない。しかし、無いからといって指をくわえて、ただじっとしているわけには
いかない。ならば、成長の糸口は、どこで、何をして、どうつかんだらいいか。北條
は「やっぱりもっと打たないといけませんね。今、2割そこそこですから。何とか2
割7、8分まで上げていきたいです。野球に四球は大変必要なものですが、自分をア
ピールするとなるとやはり四球より打つことでしょう」もう今年で6年目。自分の置
かれている立場はよくわかっているようだ。

 この際、他チームから嫌がられる“クセ者になれ”と言いたい。幸いにも北條にはク
セ者になれる要素はある。勝負強さはチームで1、2を競う打点が証明している。ツ
ボへくれば一発長打もある。また、相手のスキをつくずる賢こいとこらがあれば、計
算したうえでのしたたかな一面を持ち合わせている。必要以上に粘っこくなれ。もっ
と、もっとしつこくなるといい。本人に「どや、相手に『アイツの顔をみるのも嫌だ』
と言われるぐらい嫌がられる選手になってみたら」と向けてみると「嫌がられる選手
ねえ…。うーん…」いつまでもうなってはいたが、表情はまんざらでもなさそうだっ
た。