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 阪神中谷将大外野手(25)である。昨シーズン、チーム最多の20本塁打を放っ
てブレークした大砲候補。当然今季は開幕からの活躍を期待されていたが、3月半ば
だった。鍛錬の場タイガーデンにその姿があった。

 自分で招いた試練。やるしかない。気持ちを切り替えて頑張るしかない。今、復活
を目指してもだえ苦しんでいる。4月3日から鳴尾浜球場で行われた対広島3連戦を
取材した。初戦が4打数2安打2打点。2戦目は3打数0安打1打点。3戦目が3打
数2安打1打点。このゲームまでの7試合28打数3安打(打率1割7厘)を見ると
何となく復調の兆しは見えてきたのだろうが、まだいい日と悪い日の繰り返し。本人
の「その日によって良かったり悪かったりで自分の現状はよくわかりません」は偽ら
ざる気持ちに違いない。2戦目のあと(4日)試合後の特打を拝見した。ピッチング
マシンとバッティングピッチャーを相手に約1時間強打ちまくった。何球ぐらい打っ
たかは定かではないが、見ていてバットの芯で捉えた打球と芯を外した打球が半々ぐ
らい。いや…どちらかといえば打ち損なった方が多かったようにも思えた。普通、1
軍で活躍している選手のバッティング練習を見ていると、だいたい7割から8割の割
合でバットの芯で捉えている。

 この日の特打で見えたのは、中谷の1軍昇格はまだ時間がかかるという感覚と矢野
監督、浜中、新井両バッティングコーチが見守る中にしては、自分の現状を踏まえた
うえでのバッティング練習でありながら取り組む姿勢に、同選手の欠点といおうか、
持続力に乏しい面と集中力に欠ける部分が見え隠れしていたのが気になった。この世
界の言い伝えは「成功するという結果より、努力する過程を重視せよ」である。練習
をおろそかにしてはならない。