>>296
 奥村さんは岐阜出身で、岐阜県立土岐商業高校の経理科に入った。当初は普通科の
高校を目指していたが、野球仲間と誘い合って入学を決めた。将来に影響を及ぼす大
きな決断となった。

 投手として活躍し、2年では岐阜大会の4強入りした。3年は決勝まで進んだが、
のちに広島に入る石原慶幸捕手を擁する県岐阜商に敗れた。

 卒業後は社会人野球を続けるつもりで内定も得ていた。だが、スカウトから声がか
かり、ドラフトで指名するといわれた。

 奥村 親からは反対されました。プロを辞めた後の将来の不安からですね。高校か
らプロというのはどうかと。社会人で経験を積んで、それからプロでもいいのではな
いかと反対されました。でも、私とすれば、小さい頃から夢見ていたプロのチャンス
がある。社会人に行っても、同じように指名してもらえるか分からないでしょう。ピ
ッチャーなので、肩や肘は消耗品。けがをする可能性もありますから。

 何度も話し合った末に、奥村さんは自分の意思を通した。

 奥村 後悔するよりも、プロに入ってどうなるか分からないけどチャレンジしよう
と決めました。親にも『プロに行くので認めてください』と言いました。自分でも不
安はあったと思いますが、それよりプロに入れる期待度の方が高かった。活躍して野
球を続けていくイメージの方が強かった。