【星野の記憶】宇野勝氏 あの“ヘディング”の試合後「飯でも食いに行こうや」
星野の記憶5〜語り継がれる熱き魂〜元中日・宇野勝氏
www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/01/12/kiji/20180111s00001173357000c.html

 選手でも監督でも一緒にやっているので、思い出はたくさんある。やっぱり一番は
皆さんもご存じのように、あのヘディング(※)ですよ。ただ、あの後も面と向かっ
て怒られたことはない。グラウンドではああやってグラブを叩きつけていたけどね。
後楽園ではいつもベンチで隣に座っていたんだけど、何か言われたという記憶はない。
それよりもその後「飯でも食いに行こうや」と誘ってくれたことをよく覚えている。

 それ以前にもナゴヤ球場から「飯行くぞ」と誘ってもらった時に、星野さんの車に
追突してしまったことがあった。その時もこっちは冷や汗だけど、冗談を言ってフォ
ローしてくれた。「おまえはエラーが多いから」とグラブをもらったこともある。年
齢も一回りぐらい違うし、本当に気を使ってもらっていた。

 94年オフに中日監督に復帰してほしかったとは今でも思う。僕がちょうどロッテ
を辞める時に声をかけてもらった。秋口に電話をもらって「おまえ、まだやる気ある
か?」と聞かれた。まだ36歳だったし「やります」と答えた。ただ「10・8」が
あって、世論が「もう1回、高木さんがやってくれないか」というふうになっていた。
10日後ぐらいにまた電話があり「俺はもうやらない」と言われた。僕も中日で現役
を終えたい気持ちはあったし、星野さんも気遣ってくれていたんだと思う。