やがて、宮アが内野ゴロに倒れ攻撃が終わると、石川は松本の肩に手を置いて立ち上がり、外していた道具を持って中畑監督の元に歩み寄って行った。
その表情は険しい。もしかしたら、この感情の高ぶりに任せて、
交代は不服とも取れる態度を取ってしまうのではないかと周囲は心配したが、石川は中畑監督の前に立つと、深く頭を下げた。
 「(自分が)ふがいなくてすいません。次のチャンスでは、きっちり挽回します」。
中畑監督は大きく頷き、「タケ(石川)、次だ。明日は頼むぞ」と石川の背中を大きく叩いた。
(中略)
 ベテラン選手たちから「あいつが変われば、チームも変わる」という理由で主将に推薦され、本人自身も「主将に一番遠い存在」と語っていた男も、今年で主将を務めて3年目。
最初は戸惑いながらの就任だったが、昨年の秋のキャンプでは「来季も主将をやらせてください」と監督に直訴するまでになった。
今年、チームは「心」という言葉をスローガンに戦っている。そのチームを、石川雄洋は確かに牽引している。
http://www.baystars.co.jp/story/2014/0407.php