「常に前へ」浸透 西武・辻監督の意識改革

同時に見逃せないのが辻監督、あるいは監督の意を受けたコーチ陣と選手の間のコミュニケーション
だろう。
試合後の監督コメントと選手のコメントが、申し合わせたように符合している。

3本塁打の前夜、山川は無死二塁の場面で遊ゴロに倒れ、走者を進められなかった。無死満塁では遊
飛。しかし、後ろを打つ外崎修汰が2回とも左前適時打、押し出し四球で得点につなげた。

「山川もあれで救われた」と辻監督が言えば、本人も「外崎に助けてもらった」と口にする。

「山川も悔しかっただろう」と監督が言えば、本人も「昨日は悔しかった」と話す。直接の会話が
あったのかどうかわからないが、思いを共有している様子がうかがえた。

1日の試合で先制三塁打を放つなど、ますます勝負強くなってきた源田は「監督から(野手は)打率
より(勝利への)貢献度だよ、と言われているので」と明かした。

一時は3割を超えた打率も下がってきて、2割6分台。新人の遊撃手としては十分な数字だが、安打
が出ないときは悩んだに違いない。そこを監督がしっかりフォローしていた、ということになる。

ときにあられもない失策を犯している源田だが、注目すべきは足が止まった、後ろに下がったという
たぐいのミスはないところだ。その足は常に前に出ている。

「俗に言う『攻撃的なエラー』ならいいよ、という気持ちでやらないと、失策は当然また増えてくる。
気持ちが前に出ない選手はエラーが増える。それは間違いないことなんで、それだったらアグレッシ
ブに攻めたプレーができるようにしていきたい」(辻監督の就任時の会見)。源田の動きが意識改革
の浸透を示している。

ゴールデンウイークすぎまで、一瞬とはいえ借金を抱えたチームが、いまや貯金19。選手の足が止ま
ることなく、ミスは犯しても、それが攻撃的エラーであるうちは快進撃が続くだろう。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19654920U7A800C1000000/
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19654920U7A800C1000000/?df=2