>>877
そもそもの始まりは、1870年代に英国で「安全に配慮したルールを制定した
競技者団体に所属しない限り、フットボールの試合を全面的に禁止する」という法律が
出来た事に起因する。

こんな法律(厳密には裁判所の法解釈)が出来た背景には、一般庶民の間でフットボール
(いわゆる「校庭のフットボール」とは別物)が流行していたことにある。庶民のフットボールは
「校庭のフットボール」以上に荒っぽくて試合中も喧嘩が絶えず、警察が出動する機会も
多かったのね。これには政府も困ったけど、もはやフットボール禁止令が乱発された中世ではない。
そこで、上記の法律を作って統括団体による自主管理を促したわけだ。

とは言っても万人が受け入れられる競技規則を制定するのだってそれなりに教養が求められる。
一般庶民のたちは自分たちの競技者団体を作るより、既存団体であるフットボール協会や
ラグビーユニオンに加盟する道を選んだ。1870年代に入ってFA加盟チームが急に増えているのは
このためで、それ以後のFAは「パブリックスクールチームの団体」ではなくなります。
チーム数でも選手数でも庶民の方が圧倒的に多くなったためで、リベラルに運営すれば
庶民の声がより反映された団体になるのは当たり前。こうして、FAはプロ化への道を
ひた走ることになるわけです。

一方のラグビーユニオン。こちらではラグビー校を中心としたパブリックスクール出身者が
独裁的に振る舞い続けた。というか、口で喧嘩したらパブリックスクール出身者が勝つに
決まっているわけで、彼らがどれだけリベラルに振る舞うかがその後の運命を変えたわけだな。
結局、ラグビーユニオンでは既得権者であるパブリックスクール出身者と庶民の対立が激化して、
前者が庶民を追い出す形で決着します。追い出された側が結成したのがラグビーリーグ。
庶民の為のフットボールだから最初からプロ化が前提。パブリックスクール出身者による団体に
戻ったラグビーユニオンは20世紀後半までアマチュア至上主義を守り続けることになるわけです。

こういう歴史的背景があるので「サッカーは庶民のスポーツ。ユニオンラグビーは富裕層のスポーツ」
というのはある意味正しいのですよ。