工藤は言った。「(日本の球団が)メジャーの登竜門になるのは嫌。80年かけて先輩たちがつくっ
てくださった日本野球を盛り上げたい」。ソフトバンクなら故障をせず、長く野球が出来る。目先の
1勝より、優先することがある。

ソフトバンクはドラフト会議で15年に3球団競合の末、高橋純平(県岐阜商)、昨年は5球団競合
で田中正義(創価大)を引き当てた。「抽選は優勝がかかった日本シリーズのマウンドより緊張す
る」。その選手の人生がかかると思えば「一番合った球団にクジを引いてほしい」という。

経営のために選手を放出するのもビジネスだが4、5年かけて育成し、その後10年、15年戦力と
する。成功すればプロ野球史上かつてない常勝軍団が生まれる。

工藤は少年野球指導者に訴えた。「障害がないだけで子供たちの夢が広がる。それが出来れば10年
に1人の逸材が毎年出てくる」。10年、20年後も優勝するチームづくり。それが工藤に求められ
る結果。だからこそ少年野球の育成さえも人ごとではない。(専門委員、敬称略)

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/01/26/kiji/20170125s00001173201000c.html