池田 やっぱり野球人として最もおもしろいのは監督ですか。

野村 監督だな。自分でイメージを描いて、その方向へ進めるのは監督だから。24年も監督やったけ
ど、終始一貫、変わらない。補強ポイントはピッチャー。野球って0点で抑えれば100パーセント負け
ないじゃん。10点取ったって、11点取られりゃ負けなんだ。0点で抑える主役はピッチャーなんだから
、ピッチャーを中心に補強してくれと。

池田 でも、ブルペンではいいボールを投げるのに試合になると実力を出せないピッチャーもいます
よね。

野村 ああ、“ブルペンピッチャー”ね。

池田 あと、二軍ではいい投球をするのに、一軍に上がるとそれができなくなるピッチャーも。

野村 いる、いる(笑)。

池田 そういう部分というのは変えられるんですか?

野村 選手を育てるということは、イコール、自信を育てるということだと思っている。だから選手
育成にあたっては、どうしたら自信を持ってくれるかという、その一点に絞ってやっていたけどね。
特に、声のかけ方、褒める言葉とかタイミングっていうのがすごく大事になる。

野村 困ったら原点に返れって言葉があるけれども、じゃあ人間の原点って何かと言ったら、感情の
動物ですよ。感情がある。だから、そこへ戻ればいいわけだ。選手の感情をくすぐるというのは、プ
ロ野球の監督にとって大事な才能の一つじゃないかな。

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