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ハリル氏もやり玉 サッカー代表監督が集中砲火浴びるワケ

 18年ロシアW杯アジア最終予選で苦戦を強いられるハリルホジッチ監督(64)は、タイやUAEとの試合前には「負ければ解任」と連日厳しく報じられた。
オーストラリア戦の前日に行われた公式会見では、地元記者からの「日本代表が批判にさらされているが?」という問いにカチンときて会見を強制終了させる一幕もあった。


■プロ野球の対極
 たとえばプロ野球では、試合に負けたり不振が続いても選手や監督を酷評することは少なく、むしろ応援する論調の記事が目立つ。
お家芸の柔道が五輪で惨敗しても、サッカーの代表監督ほど批判報道は盛り上がらない。同じスポーツで、なぜここまで違うのか。
海外のサッカー事情に詳しいノンフィクション作家の田崎健太氏が言う。

「どの国のマスコミも、サッカーの代表監督に対しては厳しいです。ブラジルの代表監督だったドゥンガも、マスコミとは犬猿の仲でした。
日本のスポーツマスコミもサッカーの代表監督に関して批判記事が多い。それは報道に邪魔なしがらみがないことが大きい。
例えばプロ野球の記者は、チームと一緒に行動するため監督や選手との関係が濃い。なかなか批判的な記事は書けないし、
書けば取材禁止になるケースもある。サッカーはフリーの記者が引っ張ってきた歴史がある。
日本代表の試合も申請すればフリーの記者でも取材ができ、思っていることが自由に聞ける。
2度代表を率いた岡田(武史)元監督も、かなりマスコミに叩かれていましたが、
W杯出場と本番で好成績を出すために招聘された外国人監督の場合は、どうしても厳しい見方をされますね」

■愛情が批判に

 プロ野球の場合、選手との関係を最優先するあまり筆が鈍るケースも多く、スポーツ紙などが牛耳る環境がなれ合いに拍車をかけている。スポーツライターの平野史氏はこう分析する。
「サッカーは野球と比べて世界的なスポーツですから、サッカーで食べているメディアも多い。厳しい見方のメディアが2割でも、
100人中の2割と1万人中の2割では数がまったく違う。たとえ少数派でも、厳しい意見を言う人数が多ければ目立つ。加えて、フリーのサッカーライターはサッカーが大好きという人が多い。