二軍首脳のこうした対応には理由があったと推察される。一部週刊誌にこの二軍首脳が二軍選手へ暴力行為を働き、中には病院送りにされた選手もいたと報じられていたからだ。
週刊誌の報道が正しかったのかどうかはわからない。ただ、この日も複数の関係者から「昨日もあるコーチが××さん(二軍首脳)から夜中の11時過ぎまで説教されてたんです。今の中日二軍はひどいですよ」という話を聞かされていた。
おそらくこの二軍首脳は見知らぬ記者があいさつに来たのは、噂されていた暴力行為について取材にきたのかと勘ぐったのだろう(実際はアイドルの話を聞きにきただけなのに)。7年ぶりの中日取材。
なのにさびしく、悲しい気持ちでナゴヤ球場を後にした。自分が担当していた頃のドラゴンズはおおらかなチームだった。
取材制限もほとんどなく、選手やコーチとも気軽に話ができた。だが、久しぶりに訪れたナゴヤ球場は取材禁止区域ばかりが増え、汗を感じることができない無機質な要塞のようになっていた。
ほんの数年前までドラゴンズはどのチームにも負けないくらい地元ファンに愛されている球団だった。
名古屋のマスコミもファンと同じようにドラゴンズの勝敗に一喜一憂していた。だが今年は球団創立80周年だというのにファンにも地元マスコミにもどこか、しらけムードが漂っている。それは単に成績が悪いからだけではないと思う。
25年ぶりの広島の優勝。カープ一筋の緒方監督の胴上げに、カープのため広島に帰ってきた黒田の男泣き。
石井コーチの涙からも広島を、そして選手を思う気持ちがダイレクトに伝わってきた。歓喜の輪の中には選手を殴ったと週刊誌に書かれたり、居眠りしたり、スマホで遊んでいる者は一人もいない。
チームのことが好きで、地元のファンのために何としても勝ちたい。そんな熱い気持ちが伝わってくる集団にファンは熱狂するのだと思う。
「(中日以外の)11球団OK」とアマ球界の選手からは敬遠され、球団史上初の4年連続Bクラスは濃厚。この暗黒時代から抜け出すのはおそらく容易ではないだろう。
そんな中日を魅力あるチームに変え、ナゴヤドームにかつての熱気を呼び戻すためには、やはりドラゴンズのことが大好きで、名古屋を愛している人が指導者になるのが一番だと思う。