水疱クレーター職人の朝は早い。

「やっぱりね、朝でっかいのが出来てると、やったと思いますね。」

足の裏の皮膚の感触を確かめるよう手のひらでゆっくりとさする。
部分的にこりっ賭した粒のような粒感が手に伝わってくる。
水疱だ。

「ほかの皮膚とは違ってね、張りやコシが違いますね。」

見つけた水疱は慎重に収穫する。

職人が愛用する道具は、道具は匠の技が光る
GREEN BELL製 「G-1030」だ。

「刃先がまっすぐでね、水疱をもぎ取るに最適なんですよ。」

右手に道具、左手で足裏水疱周辺をつかんで盛り上げ、
水疱をもぎ取りやすいように、コリッとした粒を更に強調する。
職人は手馴れたように次々と水疱を刈っていく。
サクッサクッっと。

「やっぱりね、水疱が取れた後の赤いクレーターを
じっくりと眺めるのが最高ですね。周辺の表皮もしっかり刈取ります。
水疱が密集していると一気に刈り取れるからね、それもまた嬉しいね。」

もぎ取ったあとの皮膚には赤くぽっかりと口をあけた水疱のクレーターが残る。
密集していた場合は、まるでショットガンでも打ち込んだ後のようだ。
じわりじわりと体液がにじみ出て、それをティッシュでふき取るのもまた趣深い。

「好きではじめた仕事ですから。
体の調子で水疱が出ない日もありますからね。
出続けてくれるうちは体の動く限り続けようと思いますよ。」

見事な水疱クレーターを作る職人。
笑って見せる顔には照れ隠しも混じっているようだった。