>>765
『ごちうさ』1期2期はきららアニメの楽しみ方がまだ理解できていなかったころの作品で、こんな骨太の良作だとは思っておらず正直すまんかった。
キャラは一応覚えていたので復習もなしにすんなり入れたのだが、進路の話などが普通に始まり、変わっていくことを意識したつくりにびっくり。
そういえばメインキャラたちは学校学年職場と、少しずつ所属が違ったり重なったりしてたっけとライト層(わたしです)にも思い出させつつ、
未来の選択やかつてありえた可能性、はたまた過去とのつながりについて、キャラたちを可愛らしく着せ替えながら想起させてくるのがめちゃくちゃうまい。
各話の構成もお見事で、前半と後半で違う話をする回でも、1話を通じたテーマが奇麗に繋がっていて、作品をより強固なものにしている。
また豊作だった秋アニメの中にもテーマが類似するものが複数見られ、ミュークル28話や体操ザムライの亡き母の話や、
同じく体操での近しい人間の影の努力、新しい場所への一歩を描いた虹ヶ咲など、それぞれの作品が互いのエモポイントを相乗効果で高め合っていた。
変化を受け入れることが話の軸にある一方で、大人たちの描写などには変わることのない場所や関係性もあるよという日常系の優しく閉じた世界も感じられる。
その点を良しとするかの評価は続編によって変わるかもしれないが、11話でチノが泣くシーンでは優しい世界すぎるやろと私も一緒に泣いてしまった。
チノの外の世界への関心の高まりが描かれる一方で、故郷を離れてやってきたココア視点では実は今この場所こそが外の世界でもあった。
3期にわたるごちうさ全てのエピソードが、踏み出すことで手に入れられる幸福を示唆している。からの最終話サブタイトルの表示が美しすぎて、迷ってた最後のひと枠に滑り込み。

今年はコロナ禍で春夏の層が薄く感じたものの、ツボに入る作品の数は多く豊作の年でした。というわけで以下次点

『Lapis Re:LiGHTs』はめちゃくちゃ多いキャラたちを単発ゲスト扱いせずに登場させ、見ているうちに顔と名前が一致するようになっていて気が付いたとき快感だった。
人数の多いアニメが苦手で、今回選んだSB69やバンドリも2期でキャラが増えたとき一度脱落していたくらいだったのだが、この作品で意識が変わった。
アサリリはキャラ名が表示される親切設計ではあったが、あの大人数を楽しめたのはラピスリの影響もあったと思う。5位に選んであげたかった。

異世界ではなくただのゲームという設定が楓と理沙の関係を引き立たせていた『防振り』をはじめ、安定感のある作品を連発していたシルバーリンクにありがとう。
画面から様々なメタファーが迸る『虹ヶ咲』はMVやデートムービーを織り交ぜたライブパートが心のレジェンドである3,4年目のアイカツを彷彿とさせる素晴らしさ。
趣味に人を巻き込むこと、教え教わる大切さ、環境への配慮など、キャラたちにきちんと考えさせる『ていぼう日誌』の誠実さ。
主人公の異能の痛快さや各キャラに壁を用意する熱血構成が優れた『いわかける!』はキャラ付けや演出のずれたセンスが上手くはまって妙に面白い。
トンチキ度では『異常生物見聞録』の不思議な味わいとキャラの良さ。笑った度合いでいえば『推し武道』が今年のギャグアニメのナンバーワン。
自分の中でディスコ探偵で止まってた舞城ワールドを久々に堪能できた『イド』。話題作の『映像研』も面白かった。