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オトナANIMEDIA Vol.6
マギ プロデューサー座談会 第2回

――今回、音楽は鷺巣詩郎さんが手がけていますが、劇判がとても壮大だとお聞きしました。
清水(博):鷺巣さんは、共同プロデューサーの斎藤俊輔(アニプレックス)と劇判を誰にしようかと話している時に、彼から名前があがったんです。そこで『BLEACH』の音楽プロデューサーを通じて、今回の企画をお話ししたところ、快諾してくださいました。
斎藤(朋之電通P):『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』と近いタイミングでしたから、「まさか鷺巣さんが受けてくれるなんて!」と驚きましたね。
清水(暁A-1 P):斎藤さん、さっきからそればっかり(笑)。それが言いたいだけでしょう!
斎藤:いえいえ(笑)。でも本当に驚いたんですよ。パリ在住で世界を股にかけてお仕事なさっているご多忙な方ですから、まさかと。

――音楽と言えば、OPテーマはシド、EDテーマは乃木坂46が担当されていますが、楽曲の印象はいかがですか?
清水(博):まず、EDの乃木坂46ですが、楽曲をどうしようかという話になった時、監督が「本編の終わりに音を少し被せて使いたい」と仰ったんです。
   ですから歌詞は、より『マギ』の様々な感情を上手く補完できるようなものにしていただきました。
   作詞をされた秋元康さんも『マギ』の作品をよく理解してくださって、世界観を歌詞に反映してくださったんですよ。
   冒険に関連するキーワードも入れていただいて。良い曲を書いていただけたなと思います。
(略)
清水(博):ソニー・ミュージックの篠原プロデューサーが今回のOP、EDの音楽を仕切られているのですが、その方がこのふたつのチームを紹介してくださったんです。
   篠原さんはアニメとアーティストのタイアップに際して、既存の楽曲を使うのではなく、きちんと作品の世界観やストーリー、それにアーティストに合わせた音楽をタイアップしてくださる方なんですよ。

――次にキャラクターのキャストの方々について伺います。アラジンが、とても可愛いとお伺いしました。
清水(暁):可愛いですね。今は第4話まで収録が終わっているのですが、声が入ることで”アラジン”というキャラクターになったなと思いました。
斎藤:キャラクターの中で、アラジンだけはみんなの中で声の想像が付きにくかったんですよ。既存の、「他作品の誰」みたいな声、というのがあてはまらないと思ったんです。
   アラジンをやるのは、今まで聞いたことのない声だと思ったんです。もちろんこれは単純なキャリアの長さじゃなくて、芝居として新しいことができる人を求めたいと思って、声優さんを選びました。
清水(博):アラジンは無垢な存在でもありますから、イメージが難しくて。オーディションでも相当悩みましたね。結果、舛成さんが一番良かったと仰った声優さんにお願いしました。実際にアフレコをしてみると、かなりしっくりきますね。
清水(暁):第1話のアフレコ時「もう少し男の子っぽく」というふうに指示はされていましたよね。
斎藤:なんというか、性別を超えていますね。
清水(博):うん、本当にその通り。吉野さんが「アラジンはすごく女の子っぽい」ってよく仰るんですが、それは本当に正しいんです。アラジンは男の子ではあるものの、女の子っぽい時もあれば、すごく男の子っぽい時もあるんです。
   みんながそれぞれのイメージを持っていますから、すごく難しいキャラなんですよ。でもこの声優さんで良かったと思います。正直、オーディションの時はそこまでわからなかったのですが、実際にアフレコで聞いたら、すごく”アラジン”でしたよ。
斎藤:「ああ、アラジンってこういう声だったんだ」と思いました。聞いて初めて、頭の中でもやもやしていた「アラジンの声」に気付いたんですよ。
清水(博):何十人もの声を聞かせていただいたんですけど、監督と菊田さんはすぐにこの声優さんがいい、と仰ったんですよね。本当に、アラジンは誰がいいのかわからなかったんです。
   誰でも合いそうだし、誰も合わなそうだし。でも最終的にはばっちりだったので、声優さんの演技と、監督方の耳の良さはすごいなと。