“あおり運転”で事故を起こす大人や、コロナ禍の中で不適切な言動をする大人など「どうしていい年をした大人が、こんなことをしてしまうのか?」という事件が多々ある。
そんないわゆる“厄介な大人”たちは、実は「生きづらさ」を持った子どもたちがそのまま大人になった可能性もあるかもしれないというのは、『不器用な子どもがしあわせになる育て方?コグトレ』を上梓した児童精神科医の宮口幸治氏だ。

あおり運転をする大人たち

ニュースを見ていると、何度も万引きを繰り返す大人、ちょっとしたことでいきなりキレる大人、近年のあおり運転事件、新型コロナウイルスで自粛が求められる中での不適切な行動など、
「どうしてそんな馬鹿なことをするのだろうか?」と不思議に思うような事件が時々あります。

こういったよくわからない行動をする大人が生まれる背景には、次のような原因も考えられるかもしれません。

世の中には、「生きづらい人々」がいます。「境界知能」(「知的障害グレーゾーン」ともいう)という、かつて「軽度知的障害者」と定義されていたIQ70〜84までの、さまざまな困難さを抱える人々のことです。
この「知的障害グレーゾーン」は、実に人口の約14%(日本では、約1700万人)に相当します。

この障害程度の軽い軽度知的障害やグレーゾーンは、日常生活でさまざまな困難に直面しているにもかかわらず、健常人と見分けがつかず、さらに軽度といった言葉から「支援もあまり必要でない」と誤解されるため、支援を受ける機会を逃してしまうのです。

もし、この「生きづらい人々」が、子どものうちになんの支援も受けずにそのまま大人になったら、いったいどうなるのか……。
つまり、冒頭のよくわからない大人のように、さまざまな局面で、次のようなトラブルにつながる大人になってしまう可能性があるかもしれません。

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