■本当に安全?新東京タワーの電波!/荻野晃也先生 京都大学工学部・電磁波環境研究所 2006.10.28

■太陽に背を向けるヒマワリ

 写真週刊誌「フライデー」2005年8月12日付に、瀬戸タワーを背景にしたヒマワリの写真が載った。瀬戸タワーは名古屋市の東にあるデジタルタワーで、丘陵地帯の
ど真ん中に建てられ、丘の周りには学校が多い。タワーの周りが殺風景なので、PTAの人たちが瀬戸市からヒマワリの種をもらって昨年春、タワーの北側にまいた。
夏になってヒマワリが1000本ぐらい咲いたが、全部北を向いて咲いたという内容だ。私はその話を聞いて、すぐに写真を撮りに行ったが、見事に北向きに咲いていた。
 一昨年ぐらいから、携帯タワーの周辺で異常な植物が増えているという報道が「週刊金曜日」や「消費者ニュース」に出ていた。最初にそれを見つけたのは、長野県
伊那市の住民だ。私もそこへ行って見せてもらった。携帯タワーから200mの場所で、電磁波の強度が一番強いと思われる所で、タンポポなどの異常が増えていた。
 瀬戸タワーのヒマワリが、本当に電磁波の影響なのか確認しようと、そこのヒマワリの種を取っていたので、今年の春、私の家の庭に植えた。もし、遺伝的に北向き
に咲くようになっていたのであれば、私の家でも北向きに咲くと思ったからだ。しかし、毎日水をやったが、芽が出なかった。まだ花が咲いていた時に行ったので、
ちょっと枯れたようなところの種を取ってきたのだが、花に詳しい人によれば、種を取るのは、もっと枯れてからでないとダメだそうだ。水もやり過ぎたようだ。
 もう一度種を取ろうと、今年の夏に地元に電話を入れたら、「ヒマワリは1本もない」と言われた。タワーとは関係ないが、放射能を少し含んだ「フェロシルト」と
いう埋め戻し材を、そのあたりにたくさん入れていたことがわかって問題になり、北向きのヒマワリもそのせいではないかと住民には説明されていたらしく、フェロシ
ルトを撤去するために、ヒマワリはなくなったそうだ。