お蔭様で、「つばさ」の舞台が川越であった必要性はどこへやら、コミュニティーラジオでのドタバタ劇と化してしまった。
川越の自慢である歴史的な町並み、建造物は、映像が切り替わる1瞬だけ移るに留まった。
時の鐘がコンマ1秒だけ出てきて、「グワ〜ン」と鐘が鳴る―――そんなカンジ。

 たまに和菓子屋が出てきたかと思えば、家庭内のドタバタシーンや盛り上がる場面で、川越とは何の関係も無いサンバダンサーが大挙してくる、無意味なくらいコミカルな演出。
埼玉の何も無さを補ったり、ウケ狙いを図ろうとしたあまり、空振ってしまった、という感がある。

 劇中に登場する「ラジオの精」や「川越キネマの住人」といった突飛なキャラクターも微妙であったように思う。
 あのドラマは、無作為な演出が「埼玉の何も無さ」を助長してしまったように思うのだが……。