素人談義よりもプロの意見の方が為になるかね

声優という生き方 - 中尾隆聖 - Google ブックス
https://books.google.co.jp/books?id=Q-6UDwAAQBAJ

おわかりかと思いますが、演技においての「ふつう」とは、実生活の「日常」を指しません。
勉強中の若い子はそこで勘違いしてしまうことが結構あって、本当にふだんどおりにしゃべってしまう人が多くいます。
ふつうにしゃべっているように聞かせるためには技術を身につけなくてはいけないということがなかなか伝わりづらい。

アニメやゲームが大好きでやってくる人が最近は多いですから、
自分の好きな作品の声の当て方が声優的に当たり前だと思っていて、そういう声の出し方をする。
そういう人に「ふつうで」というと、演技をしないということになってしまう。

違和感のない、作品やキャラクターに合わせた声の出し方、口調は毎回探さなくてはいけません。
私は「匂いを探す」とかいう言い方をすることもありますが、演技におけるナチュラルはぜんぶ異なります。
シリアスなのか、コメディなのか、ミステリーなのかSFなのか、時代劇なのか、
立ち位置、文脈、いろいろと嗅ぎ分けられなければいけません。

「いいんだよ、もっとふつうで」
言葉では伝えづらいので私もついつい言ってしまいがちです。
声優は声だけで演技をするわけですから、「ふつうに聞かせる」にはきちんとした技術が必要で、ごまかしがききません。