三石  私たちの世代がこの声優業界をぶち壊したという先輩たちの厳しいご意見を聞きました。
そう言われてみれば声優雑誌が創刊されたり、イベントにて歌う機会があったり、個人のCDを出したりというのが、
お仕事のステップアップとして普通になっていたので、ある意味で変化をもたらした世代なのかなと思います。

(中略)
―アニメ自体も平成になって、だいぶ市民権を得たのではないのでしょうか。

三石 『クールジャパン』ですよね!国レベルです! アニメが大人の趣味として容認されてきました。
喜ばしい反面、本気で子供向けに作っているオリジナルの作品が、以前より本数が少ないと感じて欲しいです。

(中略)
―1クールのアニメが増えたことによる、声優業界の変化はありますか?

三石 アニメーション1本の主役をやるという重さと大きさが、今は小粒になってきているのかなという気がします。
1クールじゃ申し訳ないけど役も広げられないし、新人だとしたら育つのは難しいと思います。
本来ならば1年演じて、演出や共演者に揉まれてやっと何か掴めるかな?くらいの感じですからね。

(中略)
―新人にとっては現場で成長する前に作品が終わってしまうという感じですか。

三石 期間が短いことと、現場にいる先輩の比率が少ない。私が先輩だらけの中で育ってきたからかな。
今後デビューしてくる方達が長く声優を続けたいと思っているのだったら、危機感をもって臨んだ方がいいと思います。
現場以外で表現方法を吸収しないと……。何か自分で見付けて勉強したもん勝ちかも……。
今は、声優に求められることが多様な時代。パッと主役やって、ビジュアルで出て、CD出して、ライブやって、それで満足したら終わってしまう……。

―ただ、今の新人声優を見ているとイベントやラジオなど作品に付随した活動も多く、勉強の時間も取れないのかなと思います。

三石 そんなこと言って使い捨てにされるのは嫌でしょう。

(中略)
―そう言われると、若手声優の苦労話を聞かなくなったような……。
三石 私が心配することじゃないしあえて苦労をしろとは言わないけれど苦労を知っている人と知らない人では台詞の重みも違うでしょう。