ネットにはなぜか、自分と全然関係ないことに怒りまくる人がいる。
俺が見てきたツイッターでは、
「不倫は絶対許さない」
とか、
「ヤリチンは人を不幸にしているから滅ぼすべき」
のようなことをつぶやく人がいた。

こういうツイートを見るたびに俺は思う。

・・・お前に何が関係あるのだ──────

こういう人のツイートを遡って観察すると面白いことがわかる。
ヤリチンを叩いている人に限って、
「私を騙して遊んだ男に天罰が下ればいいのに」
のように、自分の不愉快な過去を露呈しているのである。

人間の想像力はそれほど優れてはいない。
「遠いアフリカで食糧難で死んでいる人がいる」と聞いても、その光景をリアルに想像して悲しんだりはできないだろう。
自分が経験していないことを想像するのはとても難しいのだ。
同様に、自分と無関係なことに本気で怒ることも難しい。
遠いアメリカで銃を乱射したアホのニュースを見て、手を震わすほどワナワナと怒り、ツイッターに「銃を乱射したアホを絶対に許さない」などと投稿することはないだろう。
ツイッター上で赤の他人のツイートに怒り、「正義の代理人」として活動している人は、
「自分自身を傷つけた過去の出来事」
に対して怒っているのである。
実際、ツイッターで好き放題つぶやいている人物にリアルで関わる可能性は、極めて小さい。
全く人生に関係ない赤の他人が何をしていたところで、怒りを表明する必要はないはずだ。
にも関わらず、憎しみや怒りを撒き散らすのは、それが他人ごとではないからである。
他人の出来事を過度に自己投影し、自分のことのように怒っているのだ。
そういう人への処方箋は、まず自分の怒りの原因を見つめることだ。
怒りの原因を見つめ、理解し、「次はそのような目に遭うまい」と対策を考えることが大事なのである。

過度の自己投影は、不倫や浮気を断罪している女子に限らない。
たとえば、ツイッターで
「男は飯を奢って当たり前。女の貴重な時間を使ってるのに何様なの?」
みたいに言っている奴を見たらカチンとくる。
そういう発言が腹立たしいのは、自分が会ってきた女にそういう奴がいたからかもしれない。
ネットの出来事に、自分の過去の出来事を投影し、それに対して怒りを感じている可能性がある。
他人がそうなっている場合は理解できても、自分は無自覚にやってしまう可能性があるので、注意が必要だ。