東京五輪招致で組織委理事に約9億円、汚職疑惑の人物にロビー活動も

https://jp.reuters.com/article/olympics-2020-lobbying-idJPKBN21I0RP

ロイターが入手した「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」(招致委)の銀行口座の取引明細証明書には、招致活動の推進やそのための協力依頼に費やした資金の取引が3000件以上記載されており、
多くの人々や企業が資金を受け取り、東京招致の実現に奔走した経緯をうかがわせている。

そうした支払いの中で最も多額の資金を受け取っていたのは、電通(4324.T)の元専務で、現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委)の理事を務める高橋治之氏(75)だ。
招致委の口座記録によると、高橋氏にはおよそ8.9億円が払われている。

高橋氏はロイターとのインタビューで、世界陸連(IAAF)元会長で国際オリンピック委員会(IOC)委員だったラミン・ディアク氏を含むIOC委員に対し、
東京五輪招致のためにロビー活動などをしていたと語り、ディアク氏に「当然ながら」手土産を渡したこともあると話した。

ディアク氏は、オリンピックの開催地選定に影響力を持つ実力者だった。同氏は16年のリオ五輪の招致で票を集める見返りに200万ドルの賄賂を受け取ったなどとして、現在でもフランス検察当局の調べを受けている。

高橋氏はインタビューで、招致委員会からの支払いは彼の会社であるコモンズを経由して受け取り、五輪招致を推進するための「飲み食い」、そして招致関連のマーケティングなどの経費に充てたと話した。
そして、ディアク氏にはデジタルカメラやセイコーの腕時計を手土産として渡したことを明らかにした。
「安いんだよね、セイコーの時計」と同氏は話した。

招致委の役職者によると、招致関係者を招くレセプションやパーティーで「良い時計」が配られていた。同委の口座記録を見ると、セイコーウオッチ社に500万円ほどが支払われている。

IOCのルールでは2020年大会の招致活動が行われていた当時、一定額のギフトを贈ることは認められていた。それについての具体的な金額は明示されていなかった。

高橋氏は、ロイターに対し、招致委から受けた支払いについても、その使い方についても何ら不正なことはなかったと語った。