「中学、高校は私立の女子校でしたし、大学も女子大でしたから」

周りに女性しかいない環境だったからだと言いたいのだろうが、女子高、女子大育ちでも、男性と
お付き合いしている女性たちは、大勢いる。部活で男子校と交流会をしたり、インカレでほかの大学の
男子と仲良くなったり、バイト先で出会ったり、男性と触れ合うチャンスはいくらでもあったはずだ。

これは単に恋愛への興味が薄かったからではないか。学生時代に何に1番興味があったのかを聞いてみた。

「宝塚が大好きでした。今もそうで、ごひいきのジェンヌさんがいるんです。その方を全力で見送ると、
次のごひいきさんを見つける。ファンクラブにも入っています。ジェンヌさんとのお茶会に参加することもあります」

私は一度も公演を見たことがないのでその魅力やすばらしさは想像するしかないが、一度観劇をすると、
夢中になり、どっぷりと宝塚にのめり込んでいく人は、男性にも女性にも多いと聞く。


すでに退会してしまった女性会員(39歳)も、宝塚のファンで、「全国で公演を見ている」と言っていた。
そして、宝塚ファンに共通するのは、自分の愛情やお金や時間を、舞台で華やかに歌い踊るジェンヌに注ぎ、
そこにいいようのない満足感や高揚感を得ていることだ。これは何も宝塚に限ったことではなく、アイドル
や舞台俳優にハマりのめり込んでいる人たちもしかりだ。

ただ、手の届かないアーティストたちに愛情を注ぎながらも、生身の異性とも付き合う人たちもいる。
一方でリアルな恋愛をせずに歳を重ねてしまう人たちもいる。その個人差は、なぜ生まれてしまうのだろうか。

■リアルな恋愛をするかは熱量の問題?

入会面談のときに、友美にこんな質問をした。

「学生時代は、周りに男性がいなかったのかもしれないけれど、就職してからは職場に男性がいたでしょう?
周りにいる男性を好きになったり、お付き合いしてみたいなと思ったりしたことはないの?」

少し考え込み、友美は言った。

「いいなと思った人はいたけれど、そこから先をどう進めていいのかわからなかったし、おそらくですが、
恋愛に結び付くほど好きではなかった気がするんです」