■アンコウは獲得免疫を捨てていた

1匹のメスに複数のオスが融合している場合もある/Credit:Science
水深300メートル以下の深海に生息するアンコウは168種が知られており、一部の種は、性的寄生として知られるプロセスを経て交尾をします。

この性的寄生においては、オスがメスの体に付着することからはじまり、2匹の皮膚組織が融合し、最終的には循環系がつながり、オスは栄養分をメスに依存するようになります。

性的寄生を行ったオスはメスにとって外部臓器となり、精子の供給だけを行うようになります。

またこの性的寄生は「多夫一妻」になることが多く、メスのなかには複数のオスと融合しているものも確認できます。

しかし本来、寄生体であるオスと宿主であるメスは異なる遺伝子を持つ別個体です。

他のすべての脊椎動物種では、体内に侵入した他個体の組織の存在は、免疫システムによって異物と認識され、免疫システムによる攻撃の対象となります。

ですが性的寄生が行われているアンコウでは、オスの体はメスの免疫からの攻撃を受けません。

ドイツのマックスプランク研究所のスワン氏らは、この謎を解くため何種類かのアンコウを捕らえました。

捕えられたアンコウのうち、4種は一時的な付着が起こり、6種では永続的な融合が起こすことが知られています。