立民の枝野代表が、数の寄せ集めを優先する「永田町の論理」に走る姿勢を鮮明にしている
自ら嫌悪感をあらわにしていたはずだが、国民民主など旧民主党の勢力を糾合する形で国会の統一会派結成を進めており、
原発や憲法改正をめぐるスタンスの違いは棚上げにしたままだ
参院選では比例代表の得票数を大幅に減らし党勢は退潮したが、選挙の総括も十分とはいえない
かつて党内の意見対立から崩壊した旧民主党の二の舞となるのか

 「参院でも仲間の数が増え、さらに力強く国会論戦ができる」

 立民の枝野代表は27日、国会内で両院議員総会を開き、衆参両院で国民と会派合流する意義をこう強調した

 枝野氏はこれまで「永田町の論理には染まらない」と宣言し、他の野党と摩擦を起こしても立民の勢力拡大を優先してきた
しかし、先の参院選で伸び悩んだ現状を受け、方針転換を余儀なくされたといえる

 今回の参院選で、立民は元アイドルやスポーツ選手など著名人を多く擁立し、政党への支持が固まっていない無党派層の取り込みを狙った
選挙を取り仕切った福山幹事長は「当事者の声を国会に上げることができる多様性を持った候補者」と説明したが、
当選したのは元格闘家の須藤氏のみだった。

 もくろみが外れ、立民が獲得した比例票も29年衆院選の約1108万票から約316万減の約791万票に落ち込んだ
党中堅は「幹部は比例得票数が800万票を下回ったことに衝撃を受けている。野党内での枝野氏の求心力は低下していくだろう」と語った

 立民の凋落(ちょうらく)に反して躍進したのが、山本代表率いるれいわだった。初の国政選挙で約228万票の比例票をたたき出し、
山本氏は「他の野党と手を組まなければ政権交代までいけない。力を合わせていく必要がある」などと繰り返す
立民支持層の一部はれいわに流れたとみられ、党関係者は「野党の主役の座はれいわに奪われた。れいわなしで、今後の野党政局は考えられない」と恐れる

 立民と国民は旧民進党分裂以来、参院で野党第一会派をめぐって激しく争ってきた
両党は基本政策で溝があるが、れいわなど新興勢力に野党の主導権を奪われることを恐れ、統一会派の結成に踏み出した一面もある