「マジで政権を狙います」−。「勝者なき凡戦」とされた参院選で唯一、『れいわフィーバー』を巻き起こした山本太郎前参院議員(44)が、
選挙後も真夏の夜の花火のように、永田町の空気を震わせ続けている。

「国会の野良犬」を自称する山本氏が、今年4月に1人で立ち上げた政治団体「れいわ新選組」は、
参院選の比例代表で228万余の票をかき集め、2議席を獲得した。投票総数の4.55%は、
「得票2%以上」という政党要件を楽々クリアしており、名実共に「国政政党」となった。

 山本氏が「れいわ」の旗揚げを発表したのは4月10日。新元号「令和」の公表直後で、
政界では「令和フィーバーに悪乗りした『便乗商法』」(自民幹部)と嘲笑する向きが多かった。

 しかし、永田町で「政界のアウトロー」と呼ばれる山本氏の常識破りの選挙戦略が
「計算ずくで極めて強(したた)か」(自民長老)だったことが、既成政党を怯(おび)えさせた。

 旗揚げとともに、ネットを利用した選挙資金集めは「あれよあれよという勢い」(山本事務所)で積み上がり、参院選投開票日までの3カ月余りで、4億円を超えた。

 山本氏は参院選を政治団体として戦うため、10人の公認候補を擁立したが、
出馬する候補者それぞれの供託金(選挙区300万円、比例代表600万円)に加え、
ピンク色で統一し「れいわ新選組」と大書したのぼりやチラシ、
街頭演説のための宣伝カー借り上げなどの選挙グッズも、すべて募金で賄ったとされる。

 都内の新宿、品川、新橋各ターミナルの駅前広場などで行った街頭演説には募金コーナーが設けられ、
通りがかりの老若男女が列をなして、次々に500円玉、1000円札から1万円札までを募金箱に入れる光景が際立った。