民進党のある中堅議員は昨年末、筆者の前でため息混じりにこうつぶやいた。 
蓮舫代表率いる民進党ではもはや生き残れない。代表を替える時間も労力もない。ここは破竹の勢いを維持する東京都の小池百合子知事の国政進出に期待する−というわけだ。

まず、今年最も早く党分裂の危機が訪れるのは夏の都議選直後だ。

 7月上旬に予定されている都議選では、小池氏が放った刺客が次々に当選し、都議会で大躍進する可能性が高い。
そのあおりを食うのは民進党で、惨敗すれば蓮舫氏の求心力はさらに低下する。党内政局は必至で、前原誠司元外相ら非主流が蓮舫氏ら執行部の責任を厳しく問うことになる。

 ポイントは都議選の勝利を受け、小池氏がすぐさま国政進出に舵を切るかどうかだ。仮に国政進出となれば、早急に5人以上の国会議員を集めて新党を旗揚げする必要がある。

 次期衆院選が今秋にあるとすれば、都議選後すぐにでも動かなければ間に合わない。小池氏が都知事のまま代表を務める国政政党の旗揚げメンバーは誰になるのか。
現職国会議員の離合集散が激しくなるのは容易に想像できる。民進党内から最初のメンバーに加わろうとする議員が出てくるのも目に見えている。

 小池氏に近い都庁幹部は今年初め、筆者に「小池新党に与野党から国会議員が次々に集まるだろう」と断言した。

 もうひとつのタイミングは、次期衆院選の直前となる今秋である。

 民進党は昨年のカジノ法をめぐる党内の迷走に続き、今国会でも「共謀罪」の構成要件を一部変更する組織犯罪処罰法改正案をめぐって、党内の「左右対立」が深まっている。

「絶対反対」を叫ぶリベラル系と、一定の理解を示す保守系の根深い溝は今年も決して埋まることはない。政策面の不一致を理由に衆院選目前に党を離れる選択肢は十分あり得る。

民進党の複数の中堅、若手議員は小池氏の側近とひそかに会談を重ねており、国政進出に向けたシミュレーションも行っている。大義名分は「小池氏の改革を支持する」「共謀罪や憲法改正論議で民進党に限界を感じた」などいくらでもひねり出せる。