「お願いセールス(土下座セールス)」
  …その言葉の通り、お願いありきでセールスを行う営業スタイルである。
   一般的な企業の場合、マーケティング調査をした上でそれに合致する商品を開発し、広報活動を行う。
   しかし、金融商品は商品の魅力の差をつけ辛い品目である。例えば住宅ローンで魅力をアピールとなると、
   ただの金利競争になってしまうし、保険や投信も所詮は代理店販売であるため、商品ラインナップが
   他と似たり寄ったりになってしまう。そんな状況の中、都銀も地銀も知恵を絞って魅力ある商品の開発を
   なんとか続けているが、どうにもこうにも小規模金融機関である信用金庫にはそれができないのである。
   商品に魅力が無いのなら営業担当者が提案力を付ければいいではないかと思うかもしれないが、
   顧客にとって本当にメリットのある提案をしたとしても、そもそも商品が他金融機関より
   劣っているため、他金融機関で同じ提案を受けた方が顧客にとって得になってしまうというジレンマが発生する。
   信金営業担当者にとって、商品が圧倒的に劣勢である状況において、もはや交渉力も提案力も焼け石に水である。
   悲しいことに、血の滲むような創意工夫と長い葛藤の末、結局はお願いセールスに行き着いてしまうのである。