●問われる「銀行業界」の姿勢

これまでの取材では、ノルマ達成のために望んでもいない顧客のキャッシュカードにカードローンのオプションを上乗せしたり、
すでに借金を抱える人をターゲットに新たなカードを勧めたりする事例まであった。
これでは銀行業界は消費者の保護を無視し、ただ儲けるために多額の融資を維持しようとしていると疑われても仕方ない。
金融庁は夏前まで「銀行界の自主的な取り組みを見守る」という姿勢だったが、
9月に方針を転換し、貸し出し残高の多い銀行を中心にカードローンに的を絞った立ち入り検査に乗り出した。
問題が見つかればそのつど指摘して是正を促すことで、法改正をともなう規制強化は避けたいという意図もあるようだ。
ただ、自己破産の申し立て件数は2017年1〜10月期で前年同期より6%多く、伸び率は前年(1.2%)から大幅に増えている。
借金は時間をかけて行き詰まる場合が多く、増加傾向はしばらく続きそうだ。
銀行が返しきれないほど多額のお金を貸しこむ問題が、金融庁の検査と指導によって根絶できるのか。
現場の実情が見えにくいだけに、2018年も注意深く見ていく必要がある。